マーケティングのABCDE

 マーケティングてなんだ?ぐらいにしか思っていない素人とは実にいい加減なもので、ようするにトランプ大統領ジャスティンビーバーにつぶやかせればいいんだろ?ぐらいにしか考えていない。

 もちろん前述のようなことも狙っていくつもりだが、それ以外に何をすればいいのかよく分からないのでマーケティングの本『「あなたの知らない」マーケティング大原則』を読んでみることにした。冒頭から美味しい。マーケティングとは商売そのものだと言う。最近もてはやされているブランディングなんかも一つの手段でしかなく、それらの効果的な手段を講じ続ける仕組みを作るところまで含めてマーケティングなんだって。面白そうだ。

戦略的コンセプト

 製品やサービス、ブランドやコミュニケーションまで「すべて一緒に考える」 には「コンセプト」が重要であるとのこと。これまで使われていたコンセプト開発のためのフレームワークは「ABC」だが、これからは「ABC」を進化させた「ABCDE」を用いた方が良いと主張している。誰が何を根拠にDとEを言い出したのかは読み取れなかった。適当なことを早く言ったもの勝ちなのかもしれない。少し調べると、アルバート・エリスが提唱した別の「ABC」と「ABCDE」が出てきた。このことから我々が得られる教訓は「陳腐化したものに何か足しておけば新しくなる」ということと「足すなら2つまでにしておけ」ということだ。もう少し調べると、2010年にアメリカQualaroo社のショーン・エリスが提唱したグロースハッカーなる職業にも「ABCDE」の資質が必要だとか書いてあった。エリス・・・ABCDE・・・シンクロニシティか。
 さて話を戻そう。マーケティングの「ABCDE」とは、①ターゲット(Audience)、②消費者便益(Benefit)、③カテゴリー(Category)、④差別点(Difference)、⑤トーン&マナー(Emotional Character)からなり、これらを定義することによってすべてのマーケティングを一貫性を保ちながら効率的かつ効果的に考えることができるようになるとのこと。本当か?

 まず現在の方針と照らし合わせてみよう。
 ①ターゲット(Audience)は、全人類ということになる。ローカライズコストを低く抑えるために言語依存性の低いゲームを英語で作っている。国内市場のみでは勝負しない。『新約帽子世界』のようなハイクオリティなゲームを無料で提供している人がいたり、プロが次々に国内スマホ市場に基本無料ゲームを投入していたり、『DLSite』で有名老舗のゲームですら売上100万円程度にとどまっているといった状況を鑑みると、国内市場のみで勝負しても勝てないように思えたから。
 ②消費者便益(Benefit)は、開始コストと終了コストが小さいことになる。タイトルもオープニングもチュートリアルもないのでいきなりゲームを始めることができる。早くゲームしたいという欲求を満たすための措置であって手を抜いているわけではない。終了コストが小さいというのは、ユーザーが本当はつまらないと感じているのに何故か続けてしまうという状況を作らないということ。認知バイアスを利用して長くとどまるようにしないし、ログインボーナスを設けて1日1回ゲームすることを習慣化して惰性で続けるようにしない。ゲームに行動をコントロールされて疲れたと感じている人への癒しだ。
 ③カテゴリー(Category)と、④差別点(Difference)と、⑤トーン&マナー(Emotional Character)は、特にない。トーン&マナーに該当するのかよく分からないがユーザー対応については、ユーザー意見を軽んじつつ煽っていくつもりだ。ノイジーマイノリティだと判断しても無視したりしない。積極的に馬鹿にしていく。こうすることで通常対応より敵と味方を早く増やせると見込んでいる。

 さて、①ターゲット(Audience)と②消費者便益(Benefit)の変更や、③カテゴリー(Category)や④差別点(Difference)や⑤トーン&マナー(Emotional Character)を決める必要はあるのだろうか?今の私はないと考えた。

戦略的コンセプトなんて要らない?

 コンセプトがなぜ必要だったかと言うと、製品やサービス、ブランドやコミュニケーションまで「すべて一緒に考える」ためとのことだった。一人なら「すべて一緒に考え直して」別の手を打つのは容易なので「すべて一緒に考える」ためのコンセプトは必要ない。自分の言動を規定するのが嫌いだからバイアスかかってそうだが、まあいい。
 私個人に適用する気はないが、関わる人数が増えたときに方針を示した方がいいことは疑っていない。関係各位の誤答率を下げることによるコスト削減効果が大きくなれば、方針を伝えることに大きなコストを割いてもおつりがくる。「ABCDE」フレームワークを用いる必要性は感じないが、人数が増えるにつれコンセプトのような集団の行動を規定するものはあった方がいい。ただし、コンセプトの質が高いか、コンセプトの評価・改善が可能でないと、到達できる最高効率は知れているようにも思える。

 コンセプト要らないという結論に至ったが、「ABCDE」フレームワークはアイデア創出に使えそうではある。自由に新しいゲームのアイデアを考えていいと言われても、何の制約もないと考えるとっかかりがないのでアイデアが出てこなかったりする。そこでABCDEをランダム生成したコンセプトに基づいてどのようなゲームが作れるか考えてみるという手が使える。自分でも予想していなかった面白ゲームの種が生まれるかもしれない。他のABCDEやABCDEでないフレームワークでも出来そうだ。今度試してみよう。